こんばんは。みおです。薬剤師さんの転職の「本当の声」を、知恵袋やX、口コミサイトから集めて整理しています。(→みおのプロフィール)
もう限界です。私、薬剤師に向いてないのかもしれません😥
その言葉、知恵袋の相談で何度も見かけます。先に言ってしまうと、これは向き不向きの話ではありません。
この記事でわかること
- 「向いてない」と感じる原因が、自分の素質なのかどうか
- つらさを作っているのは職場のどの部分か
- 大手チェーン調剤のほかに、どんな働き方があるか
監査前の終電の中で。服薬指導で患者さんに詰められた日の夜に。薬歴の続きを布団の中で書きながら。
知恵袋の薬剤師さんの相談には、「もう限界」という言葉が本当に繰り返し出てきます。
先に結論から
「向いてない」と書き込む人のつらさの中身は、ほとんどの場合、本人の素質ではなく職場の構造から来ています。
「向いてない」と感じるタイミングはだいたい決まっている
限界が来るタイミングって、人それぞれじゃないんですか。
「薬剤師に向いてない」という相談を並べて読むと、書き込まれるタイミングは次の3つのどれかに集中しています。
「向いてない」と書き込まれる3つのタイミング
- 体が限界に近づいたとき不眠・食欲減退・監査明けの動悸
- 罪悪感に押し潰されたとき学費を出してくれた親・6年間の勉強・数年で辞める後ろめたさ
- 患者さんに時間を割けないとき処方箋に追われる調剤室・薬歴の持ち帰り
この3つに共通しているのは、どれも職場の構造が作り出しているということです。
向き不向きは、もっと深いところの話です。「人と話すのが嫌い」「薬の責任を持つのが怖い」なら、それは向き不向きかもしれません。
でも、この記事を読んでいるあなたは、たぶんそうじゃない。
患者さんに「ありがとうね」と言われると胸が温かくなる。疑義照会で処方のミスを止められた瞬間、薬剤師になってよかったと思える。
その気持ちが少しでも残っているなら、原因はあなたの素質ではなく、いま置かれている職場の構造にあります。
職場の構造① 処方箋の量が身体を先に壊す
枚数がきついのは、私の根性が足りないからでしょうか🤔
つらさを訴える相談で、まず出てくるのが処方箋の量です。
1日70枚を超える処方箋を、休憩らしい休憩もなくさばき続ける。
立ちっぱなしで足はむくみ、声を出し続けて喉は嗄れ、監査の集中で頭が熱を持ったまま夜を迎える。
相談の中では、つらさはたいてい体の症状として書かれています。
相談に繰り返し出てくる体のサイン
- 眠れない帰宅してもすぐ眠れない。眠れても数時間で目が覚める
- 休みが休みにならない休みの日なのに薬歴の積み残しが頭にちらつく
- 人に会えなくなる友人や家族と会うのが億劫になる
これは根性や覚悟の問題ではありません。処方箋の量という職場の構造が、身体を先に壊しているだけです。
実際、処方箋が1日20〜40枚の職場も普通に存在します。同じ資格、同じ仕事なのに、量の設計だけが違います。
量が変われば、同じ人でも状態は変わります。
職場の構造② 閉鎖的なのは薬剤師の世界ではなくその店舗
薬剤師の世界って、どこもこういう空気なんじゃないですか。
管理薬剤師の圧、本部からの数値プレッシャー、「3年目はそういう時期」という呪文。
これを「薬剤師の世界だから仕方ない」と思っている人は多いです。
でも、職場を変えた人の声には違う景色が書かれています。「職場が変わったら人間関係の質が全然違った」「威圧的な空気のない薬局があると初めて知った」という趣旨の声です。
つまり、閉鎖的なのは「薬剤師の世界」全体ではなく、その店舗、そのチェーンの文化です。
「薬剤師の世界は閉鎖的」なのではなく、「閉鎖的な店舗しか知らなかった」だけ。
外に出ると、穏やかな職場はちゃんと存在します。地域に根を張った小さな薬局、在宅対応の地域薬局、企業の健康相談室、治験コーディネーター。
職場の構造③ 「やりがい」は時間と余裕がないと感じられない
やりがいを感じられないのは、薬剤師に向いてない証拠じゃないですか😥
やりがいって、余裕がある人にしか感じられないんです。
処方箋に追われる調剤室では、1人あたりの服薬指導は短くて1分、長くても3分。次の患者さんを呼びながら、薬袋を準備しながら。
その状態で「患者さんの生活背景まで聞きたい」と思っても、聞く時間がないので物理的に無理です。
一方、患者さん一人に5〜10分かけられる職場に移った人の声には、「薬剤師の仕事はこんなに深かったのか」という趣旨の発見がよく出てきます。
他院処方の確認、飲み合わせの疑義照会、生活リズムに合わせた服用の工夫。
やりがいの正体
そこまで関われる時間があるかどうかは、職場の設計で決まります。
やりがいを感じられないのは向いていないからではなく、感じる余裕のない職場にいるからです。
「6年と1,000万円かけたのにもったいない」という呪い
6年かけた資格なのに、数年で職場を変えるのはもったいなくないですか。
これは、薬剤師さんの相談に根強く出てくる、呪いのような言葉です。
その場から動けなくする5つの言葉
- みんな同じくらい忙しい比べる相手を店舗の中だけに固定してしまう
- 3年目はそういう時期だよいまのつらさを通過儀礼にすり替えてしまう
- 大手を辞めるのは早すぎるいつなら早くないのかは誰も言ってくれない
- 学費を出してくれた親に申し訳ない学費といまの職場を結びつけてしまう
- どこに行っても枚数は同じだよ外の職場を見ないまま結論を出してしまう
全部、今いる場所から動かないための言葉です。
職場を変えることは、もったいないことではありません。自分の身体と判断力を守るために、違う場所を選ぶという、当たり前の判断です。
睡眠不足で判断力の落ちた状態で調剤と監査を続けるほうが、よほど怖い。1錠の取り違えが患者さんの一生を左右することもある仕事だからです。
そして、薬剤師の資格は職場を変えても消えません。
調剤から企業に移って、また地域薬局に戻る。そういうキャリアの往復も普通にあります。
6年と学費は、あなたの資格として一生残ります。もったいないのは、合わない職場で資格と身体を消耗し続けることのほうです。
じゃあどこに向かえばいいのか
職場が合っていないだけだとしても、次にどこへ行けばいいのか分かりません。
相談を読んでいても、多くの人がここで数週間止まっています。
薬剤師の働き方は、大手チェーン調剤の常勤以外にもたくさんあります。
大手チェーン調剤のほかにある働き方
- 小さな門前薬局処方箋が1日20〜40枚で、定時退勤しやすい職場です
- 在宅対応の地域薬局午前はカウンター、午後は在宅訪問。患者さんと長く関われます
- ドラッグストアの調剤併設店OTCの相談と調剤の両方を担当します
- 病院薬剤師チーム医療・病棟業務で専門性を積みます
- 企業の管理薬剤師製薬会社、化粧品メーカー、医療機器の会社で働きます
- 治験コーディネーター臨床試験の進行をサポートします
ただ、求人票を読むだけでは、どこが自分に合うか分かりません。
「在宅って同行の負担が重いのでは」「ドラッグストアって接客がキツいのでは」。こういう疑問に答えてくれる相手が必要です。
一人で決めようとすると、たいてい「今の店舗より少しだけマシな場所」を選んでしまいます。
そうではなく、あなたの経験と希望を聞いて、求人票の向こう側の情報と一緒に選択肢を並べてくれる第三者に頼るほうが早いです。
次の記事で、その第三者の使い方をまとめました。「押し売りされるのでは」「今の薬局長にバレないか」という不安への対処も入れています。
追伸。
私は調剤室に立ったことがありません。だからここに、閉局後に薬歴が何枚残るのかは書けませんでした。
かわりに数えたのは、同じところで力尽きた人たちが、驚くほど似た言葉で書き込んでいるという事実です。
もしあなたが今、「私、薬剤師に向いてないかも」と感じているなら、どうかそれを自分のせいにしないでください。
処方箋の量、店舗の文化、患者さんに割ける時間。これらは全部、職場の構造が作り出しているものです。職場を変えれば、あなたのままで、薬剤師を続けられます。
あなたの監査明けの朝が、少しでも穏やかになりますように。
みお
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