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調剤薬局 vs 病院薬剤師 vs 在宅同行。3つの働き方を4軸で正直に比較します

調剤薬局 vs 病院薬剤師 vs 在宅同行。3つの働き方を4軸で正直に比較します

調剤薬局 vs 病院薬剤師 vs 在宅同行。3つの働き方を4軸で正直に比較します

こんばんは。みおです。

去年の8月、私は大手チェーンの調剤薬局を辞めて、家から自転車で10分の在宅対応の門前薬局に移りました。1年が経って、最近よく聞かれます。

「結局、薬剤師の働き方ってどれが正解なの? 大手と病院と在宅、どれを選ぶのが一番いい?」

この問いに、これまではうまく答えられませんでした。「在宅は楽でした」と言えば嘘になるし、「病院は学べる」と言えば調剤や在宅で身につくスキルを過小評価することになる。

なので、今日は4軸に分けて、できるだけ正直に書きます。

  • 軸① 処方箋枚数・時間拘束
  • 軸② 年収・働き方
  • 軸③ 薬剤師としての学び・キャリア
  • 軸④ QOL(家族・健康・休日)

「大手はキツい」も「在宅は楽そう」も「病院は学べる」も、全部フワッとした言葉です。1年経って体で分かったことを、できるだけ具体的に書きます。

読み終わったとき、「自分はどこを優先したいんだろう」が少しでも見えたら嬉しいです。


軸① 処方箋枚数・時間拘束

ここが一番差が出るところです。

大手チェーン調剤(私が3年いた職場)

1日70枚を超える処方箋が日常。土曜出勤は月2回、平日も21時帰りが当たり前。監査前は薬歴の積み残しを家に持ち帰って、土日も書いていました。

「3年目はそういう時期」と言われ続けて、本当にそういうものなんだと思って3年やりました。今思えば、集中力が一番落ちる時間帯に小数点の位置を二度見していた怖さがあります。

病院薬剤師(同期数人の体験ヒアリング)

処方箋枚数自体は1日30〜50枚と少なめ。ただし抗がん剤の無菌調製・夜間当直・病棟業務で時間拘束は別の形でかかります。月3〜4回の夜勤当直、TPN調製のスケジュール、カンファ準備で残業が積み重なるパターン。

「枚数は減ったけど、業務の濃度が上がっただけ」という同期の声も多いです。急性期病院ほどこの傾向は強い。

在宅対応の門前薬局(今の職場)

処方箋は1日20枚前後。残業はほぼなし。土日は隔週休み。18時には家に帰っています。

ただ、ここは正直に書きます。在宅同行のオンコール待機がある場合があります。薬局によって運用がかなり違うので、転職前に必ず書面で確認したほうがいいです。

私の薬局は、平日夜は管理薬剤師と分担で当番制(月2〜3回・実際に呼ばれるのは月1回あるかないか)、土日は地域の輪番に組み込まれて月1回程度。携帯を持って自宅で待機する形で、夜勤当直とは別物です。

「在宅対応=完全フリー」ではないので、ここを知らずに飛び込むと、Day3で書いた後悔パターン④に落ちます。


軸② 年収・働き方

差は思っているより小さい、というのが私の実感です。

大手チェーン調剤 3年目

年収約650万円(基本給+土曜手当+住宅手当+処方箋ノルマインセンティブ)。手当が大きいので、土曜出勤と監査残業が減るとここはどうしても下がります。

病院薬剤師 3〜5年目

年収約500〜600万円。大手チェーンより50〜100万円低いことが多い。ただし、退職金制度や福利厚生(社宅・財形・年金)がしっかりしているので、生涯年収で見ると差は縮まります。

在宅対応の門前薬局 1年目

年収約600万円(基本給+在宅同行手当+オンコール手当)。大手時代から50万円のダウン。

50万円下がったのは事実ですが、計算するとこうです。大手時代の時給ベースは約2,800円。今の薬局の時給ベースは約3,600円。時給で見ると、在宅対応のほうが約1.3倍になっています。

これは「土曜手当と監査残業手当でかさ上げされていた大手の年収が、ようやく実労働時間ベースに戻った」というのが正しい言い方です。年収のグロスではなく、時間あたりの単価で比較すると景色が変わります。

ちなみに、年収を下げたくない場合の選択肢として、地域薬局の常勤+休日にドラッグストアの単発派遣(時給3,500円〜)を月1〜2回入れる先輩薬剤師もいます。土曜出勤のない働き方で年収700万円を維持している人も、私の周りに普通にいます。


軸③ 薬剤師としての学び・キャリア

ここが一番悩むところだと思います。

大手チェーン調剤

処方箋枚数の多さは、間違いなく圧倒的です。1日70枚を3年間裁き続ければ、多剤併用の組み合わせ、ジェネリック変更の判断、後輩への鑑査指導は、確実に身につきます。

カンファや勉強会で本部や近隣店舗の先輩から指導を受ける機会も多く、研修認定薬剤師の単位を取りやすい環境ではあります。

私自身、大手で3年やったから、今の在宅対応でも「この処方の組み合わせは腎機能を確認したい」「この粉砕指示は配合変化があるはず」と即判断できます。大手で身につけた処方監査の速度は、在宅でも全部活きています。

病院薬剤師

ここでしか得られないスキルが3つあります。

  • 抗がん剤・無菌調製(TPN・点滴・注射の混合)
  • 病棟業務(持参薬鑑別、医師への処方提案、退院時指導)
  • チーム医療(多職種カンファ、感染対策、薬剤管理指導料)

「DI(医薬品情報)の精度」「医師とのコミュニケーション」は、調剤や在宅では身につきにくい部分です。専門薬剤師(がん・感染制御・精神科・妊婦授乳婦・小児)の認定を狙うなら、病院がほぼ唯一のルートです。

在宅対応の門前薬局

処方箋枚数は、大手とは比較になりません。1日20枚前後で、急変対応は月に数件程度。「枚数で叩かれて成長する」モデルは、ここにはありません。

ただ、別の種類の力が伸びます。

  • 家庭の療養環境を読む力(介護力・住環境・家族の負担)
  • 多剤併用の整理(大手時代は処方を裁く方向、在宅は減らす提案をする方向)
  • 訪問看護師・ケアマネ・在宅医との日常的なやり取り
  • 一包化・粉砕・嚥下を考えた在宅技術
  • 家族へのお薬説明と看取りまでの伴走

これらは大手チェーンの店内では、ほぼ身につきません。「薬剤師としての成長が止まる」のではなくて、伸びる方向が変わるというのが1年経っての実感です。

認定薬剤師については、私の場合は研修認定を在宅に移ってから取りました。地域薬局でも単位を積めるプログラムが増えているので、エージェントに自分の年次と希望を伝えて相談すると、現実的な道を一緒に組んでくれます。


軸④ QOL(家族・健康・休日)

ここが、私にとっては転職前と一番変わった部分です。

大手チェーン調剤 時代

  • 朝8時起床、9時開局で立ちっぱなしの12時間
  • 月2回の土曜出勤で、休みは半分くらい寝て終わる
  • 家族との夕食は週1〜2回あればいいほう
  • 体重が半年で4kg落ちて、肌荒れと不眠で皮膚科と心療内科を併診していた
  • 友人の結婚式を2つ欠席(土曜出勤のシフト調整がつかなかった)

病院薬剤師(同期の声)

  • 朝7時半開始、夜勤当直は月3〜4回
  • 抗がん剤調製のスケジュールに合わせて休憩が取れない日がある
  • 「給料は安いけど、福利厚生が手厚いので長く働ける」という声と「当直で身体が壊れる」という声の両方

在宅対応の門前薬局 1年目

  • 朝8時起床、18時には家
  • 週休2日(土日は隔週、平日に1日休みがある)
  • 家族と夕食を食べる日が週5〜6日
  • 肌の調子は3ヶ月で戻り、心療内科は半年で終診
  • 同期の結婚式に普通に出られる

年収50万円のダウンの代わりに、ここを買った感覚です。私の中ではこの取引は安いほうでした。

ただ、これは私の優先順位です。「家族と夕食を食べたい」と思う人なら同じ判断になると思いますが、「年収650万円のラインはどうしても維持したい」「処方箋枚数の多さで薬剤師としての腕を磨き続けたい」という人にとっては、必ずしも在宅対応がベストではありません。


まとめ どっちが正解かじゃなくて、自分の優先順位

4軸で正直に比較してきました。

大手チェーン調剤病院薬剤師在宅対応の門前薬局
処方箋枚数・拘束1日70枚・土曜出勤1日30〜50枚+夜勤当直1日20枚・オンコール月1呼ばれ程度
年収約650万円(手当頼み)約500〜600万円(福利厚生厚め)約600万円(時給は約1.3倍)
学び処方箋枚数・鑑査速度無菌調製・病棟業務・専門薬剤師在宅技術・多職種連携・家族対応
QOL家族時間ほぼゼロ当直で乱高下家族と夕食 週5〜6日

並べてみると、どれが優れているという話ではなくて、「自分が何を一番大事にしたいか」次第なんですよね。

私は「家族との夕食」「健康」「集中力が落ちない働き方」を優先したので在宅対応に動きました。同期の中には「専門薬剤師を取りたいから病院に移った」人もいれば、「大手の店長候補ポジションを目指す」と判断して残った人もいます。どっちも正解だと思っています。

ここまで読んで、もし「自分は在宅や病院、ドラッグストア専門職など、大手チェーン以外の働き方にも興味があるかも」と思えたなら、次にやれることは1つだけです。

情報収集として、薬剤師の転職エージェントに登録だけしてみる。

登録は3分、無料、まだ転職を決めていない段階でも問題ありません。私もそうやって始めました。

エージェントを使った日のことと、私が休憩中のスタッフルームで動き出した1年の話は、最初の記事に詳しく書いています。

大手調剤を辞めて、小さな門前薬局に移るまでの1年の話

大手調剤を辞めて、小さな門前薬局に移るまでの1年の話


追伸。

「薬剤師の働き方を変える」って、薬剤師にとって大きな決断です。1,000万円の学費を出してくれた両親、薬学部でお世話になった先輩、3年間ともに監査を回した同期。色んな人の顔が頭をよぎります。

私もそうでした。動き出すまで数週間、決断するまで数ヶ月かかりました。

でも、1年経った今、当時の自分にこう伝えたいです。

「動いて正解だったよ。監査明けのタクシーで泣いた夜の自分を、ちゃんと救えたよ」と。

あなたの監査明けの朝が、少しでも穏やかになりますように。

みお

Smart Choice Log

※ 本記事は元・大手チェーン調剤薬局の薬剤師として在宅対応の門前薬局に転職した私(みお)個人の体験記です。年収・労働時間・専門薬剤師制度の運用は、薬局・病院ごと・地域ごとに大きく異なります。重要な判断は、信頼できる先輩薬剤師や複数の転職エージェントの担当者など、利害関係を踏まえた複数の第三者に相談されることをおすすめします。

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