「薬剤師、辞めて後悔した」と言われる5つの理由。先に転職した私が正直に書きます
こんばんは。みおと言います。元・大手チェーン調剤で3年やって、去年から在宅対応の門前薬局で働いている薬剤師です。
この記事を開いてくれたあなたは、たぶんこう思っていますよね。
「辞めたい気持ちはある。でも、辞めて後悔したらどうしよう」
私もそうでした。監査明けの休憩時間に、スタッフルームでスマホを握って「薬剤師 辞めて 後悔」と検索していた日が、何回もありました。
結論から言います。後悔する人はいます。でも、その5つのパターンは事前に回避できます。
この記事では、私が実際に転職したあとで、同期や転職した先輩薬剤師から見聞きしてきた「後悔の5パターン」と、そうならないための考え方を書きます。
読み終わったとき、「じゃあ私はこう動けばいいんだ」が少しでも見えたら嬉しいです。
後悔パターン① 「年収が下がって、生活が苦しくなった」
一番よく聞く後悔がこれです。
大手チェーン調剤の常勤って、土曜出勤手当・住宅手当・処方箋ノルマインセンティブが乗るので年収は意外と高いんですよね。私も3年目で年収650万円くらいありました。在宅対応の門前薬局に移って、50万円下がりました。
ここで後悔する人には、共通点があります。
「生活水準を落とさずに、転職だけした」
家賃、車のローン、サブスク、勉強会の遠征費、認定薬剤師の単位取得費用、学会の参加費。土曜手当ありきで組んでいた生活をそのままにすると、どこかで苦しくなります。
対策はシンプルです。転職を決める前に、一度「手取り月収が5万円下がっても大丈夫な生活」を書き出してみる。それだけで、後悔する可能性がぐっと下がります。
私は転職前に、家計簿アプリで3ヶ月の支出を見直しました。結果、「この支出なら手取り下がっても回る」と分かったから動けたんです。
ちなみに、年収だけで言えば「派遣薬剤師として高時給(時給3,500円〜)で働く」「在宅同行手当のある薬局を選ぶ」「土日対応のドラッグストア併設店で休日手当を確保する」という選択肢もあります。年収を下げない働き方は、薬剤師の場合は意外と多いんです。次の記事で、もう少し詳しく書きます。
後悔パターン② 「管理薬剤師や同僚との人間関係が、前より悪かった」
これもかなり多いです。
「大手チェーンがしんどいから、小さな薬局に行ったら人間関係から解放される」は、半分正解で半分間違いです。
小さな薬局は薬剤師が2〜3人しかいないことが多く、合わない人が1人いるだけで逃げ場がありません。大手チェーンなら「他店舗に異動希望を出す」「本部のエリアマネージャーに相談する」で済んだことが、小さな薬局では毎日顔を合わせます。
特に気をつけたいのが、「管理薬剤師との服薬指導方針の合う合わない」です。在宅対応薬局なら患者宅での説明スタイル、ドラッグストア併設なら攻めの接客方針、地域薬局ならお薬手帳の活用度。管理薬剤師の薬剤師観と自分の薬剤師観がズレると、毎日の判断が苦しくなります。
では、どうすれば回避できるのか。
面接前に、エージェントに「管理薬剤師の人柄と店舗方針」を聞いておくことです。
利害関係のない第三者の担当者なら、過去にその薬局に転職した薬剤師の話を持っています。「管理薬剤師の薬剤師観」「離職者が多いか」「他の常勤薬剤師の年次バランス」。この3つを聞くだけで、かなり回避できます。
私が今の門前薬局に決める前も、担当の方から「ここの管理薬剤師さんは50代の女性で、後輩を育てるのが好きなタイプ。離職率も低い」と教えてもらいました。面接でその通りの方で、入ってからも本当にその通りでした。
後悔パターン③ 「薬剤師としての学びが止まった気がして、後悔した」
大手チェーン調剤から落ち着いた職場に移った薬剤師に起きがちです。
最初の1ヶ月は「楽でラク」と思っていたのに、3ヶ月経つと「私、薬剤師としての成長が止まったんじゃないか」と不安になる。大手時代の同期が認定薬剤師の単位を順調に取っていると聞いて、後悔が始まります。
これ、私も最初はありました。
でも、薬剤師のキャリアは「処方箋枚数」だけじゃ測れないと気づいてから楽になりました。
大手チェーンで身につけた多剤併用への目配り、ジェネリック変更の判断、後輩への指導力は消えません。在宅対応の門前薬局では、患者さんの自宅環境を踏まえた服薬支援、訪問看護師さんとの連携、家族へのお薬説明スキルが身につく。地域薬局なら一包化・粉砕の在宅技術、企業の管理薬剤師なら薬機法・GMPの実務知識が身につきます。
「大手にいないと薬剤師としてのキャリアが止まる」は、大手チェーン文化の中だけで成り立つ思い込みです。外に出ると、違う種類の薬学スキルが評価されます。
認定薬剤師の取得についても、今は「在宅医療認定薬剤師」「がん薬物療法認定薬剤師」「研修認定薬剤師」など、地域薬局でも単位を取りやすいプログラムが増えています。資格を取りながら動くか、取ってから動くかは、エージェントに自分の年次と希望を伝えて相談すると、現実的なスケジュールを一緒に組んでくれます。
後悔パターン④ 「『処方箋枚数から逃げたい』だけで決めて、別のしんどさに当たった」
これが一番もったいない後悔です。
「1日70枚がキツいから、処方箋枚数の少ない薬局へ」と移って、結局在宅同行のオンコール対応で夜中に呼ばれる生活に変わる。「大手の上下関係から逃げたくて辞めたのに、新しい薬局でも薬剤師会の当番が回ってきて休日が消えた」。
原因は一つです。
「何から逃げたいか」ははっきりしているのに、「どこに向かいたいか」が曖昧だから。
特に在宅対応の薬局は「処方箋枚数少なめ」と書かれていても、訪問のオンコールがある場合とない場合があるんです。これを面接前に確認していないと、移った後で「枚数は少なかったけど、月に3回深夜に呼ばれる」と気づくパターンが多い。
私が転職したときに出した条件は、たった3つでした。
- 処方箋枚数1日40枚以下、かつ在宅同行のオンコール頻度を事前に書面で確認できる
- 薬歴を家に持ち帰らなくていい(電子薬歴・院内完結)
- 服薬指導で患者さん一人に5分以上かけられる
この3つを自分で書き出しただけで、候補の職場がぐっと絞れました。「前よりちょっとマシ」を狙うと失敗します。「ここを譲らない」を3つ決めるほうが、結果的に満足度の高い転職になります。
後悔パターン⑤ 「一人で決めて、情報が偏っていた」
これは、一番静かに進行する後悔です。
薬剤師向け転職サイトで自分で求人を探して、求人票に書いてある「年収550万円」「処方箋枚数少なめ」「土日休み」だけを見て決めてしまう。入ってみたら、年収は住宅手当込みの上限額、「処方箋枚数少なめ」は1日50枚(前の70枚と大差なし)、土日は「月に1回当番出勤あり」だった。
求人票に書ける情報には限界があります。職場のリアルは、中にいた薬剤師の口コミでしか分かりません。
ここで使うべきなのが、薬剤師向けの転職エージェントです。
担当者は、同じ薬局に何人も薬剤師を転職させてきた経験を持っています。「求人票には書いてないけど、実際はこう」という情報を持っているのは、その担当者だけです。
私がエージェントに登録した日、担当の方はこう言ってくれました。
「薬学部6年通って、国家試験受かって、3年も大手で鑑査やってこられたんですね。もう、十分ですよ」
この一言で、スタッフルームの隅で泣いてしまいました。利害関係のない第三者に、やっと話を聞いてもらえた気がしたんです。
この話と、エージェントの使い方の細かい流れは、別の記事で詳しく書いています。
まとめ 後悔は「知らないこと」から生まれる
5つの後悔パターンを並べてきました。
- 生活水準を落とさずに転職した
- 管理薬剤師の薬剤師観を事前に確認しなかった
- キャリアを「処方箋枚数」だけで測っていた
- 「逃げたい先」ばかり見て「向かいたい先」を決めていなかった
- 一人で決めて、求人票の情報だけで判断した
共通点は、どれも「事前に知っておけば回避できた」ことです。
後悔は、転職そのものが原因じゃない。知らずに動いたことが原因なんです。
だから、動く前に一つだけやってほしいことがあります。
「自分が今のしんどさを感じているのは、薬剤師という仕事が向いていないからなのか。それとも、今の働き方(大手チェーン調剤の常勤+1日70枚)が合っていないだけなのか」
この問いを、一度ちゃんと立ててほしいんです。
そして、もし「働き方が合っていないだけかも」と思えるなら、次に整理してほしいのは「大手チェーン調剤と、それ以外の薬局形態は何がどう違うのか」です。
次の記事では、私が実際に移った「在宅対応の門前薬局」と「大手チェーン調剤」、そして候補として比較した「病院薬剤師」を、処方箋枚数・年収・学び・QOLの4軸で正直に比較します。「在宅は楽そう」「病院は学べる」みたいなフワッとした言葉ではなくて、私が1年経って感じた具体的な違いを書きます。
追伸。
この記事を読んで「でも私、まだ決められない」と思っても、それで大丈夫です。
1年前の私もそうでした。決められないまま、数週間動けませんでした。動けるようになったきっかけは、一人で抱え込むのをやめたことだけです。
薬剤師の世界は閉じていて、本音で話せる相手が少ない。だからこそ、利害関係のない第三者の存在は、想像以上に効きます。
あなたの監査明けの朝が、少しでも穏やかになりますように。
みお
Smart Choice Log
※ 本記事は元・大手チェーン調剤薬局の薬剤師として在宅対応の門前薬局に転職した私(みお)個人の体験記です。薬剤師の転職の判断軸は、業態・勤務先との関係・地域・年次・所持資格によって最適解が異なります。重要な判断は、信頼できる先輩薬剤師や複数の転職エージェントの担当者など、利害関係を踏まえた複数の第三者に相談されることをおすすめします。