医師が使っていい転職エージェントの使い方。私が当直明けの仮眠室で登録した日の話
こんばんは。ゆうきです。
「医師の転職エージェント」という言葉を聞くと、たぶんこんなイメージがありませんか。
- しつこく電話がかかってきそう
- 合わない求人を押し付けられそう
- 「決断を急かされる」ような怖さがある
- 医局に転職活動がバレるんじゃないか
私も、登録する前は全く同じように思っていました。当直明けの仮眠室で、布団の中でスマホ画面を何分も見つめていた夜があります。
でも、登録して分かりました。使い方さえ分かっていれば、医師向けの転職エージェントは押し売りしてきません。
今日は、私が実際にエージェントを使った日のことを、正直に書きます。
読み終わったとき、「これなら今の私でもできそう」と思ってもらえたら嬉しいです。
そもそも、医師の転職エージェントって何をしてくれる人?
最初に誤解を解いておきます。
医師の転職エージェントは、「求人をひたすら送ってくる人」ではありません。
正確には、医師側の味方として、転職活動を最初から最後まで伴走してくれる人です。
具体的には、こんなことをしてくれます。
- 今のしんどさをヒアリングしてくれる(これが一番大きい)
- 希望条件を整理してくれる(当直の有無、外来か訪問か、年収レンジなど)
- 求人票に書いてない「医局のリアル・院長の人柄」を教えてくれる
- 面接日程を代わりに調整してくれる
- 年収交渉を代わりにしてくれる
- 今の病院や医局への退職・離局の伝え方を一緒に考えてくれる
この中で、私が一番助けられたのは1つ目でした。
「今のしんどさを、利害関係のない第三者にちゃんと聞いてもらえる」。これだけで、かなり楽になります。
医局の中で本音を言える相手は、ほぼいません。同期に言えば「うちの科はもっと地獄」で会話が終わるし、上の先生に言えば「3年目はそういう時期」で片付けられる。「医療業界の外にいて、なおかつ医師のキャリアに詳しい第三者」が、想像以上に貴重な存在でした。
登録は、本当に3分で終わる
ここでハードルを感じる人、多いんですよね。「登録って面倒そう」「履歴書とか職務経歴書が要るのでは」と。
結論から言います。履歴書も職務経歴書も、登録時には要りません。
私が実際に入力したのは、このくらいでした。
- 氏名
- 生年月日
- 電話番号(医局にはバレない個人の番号でOK)
- メールアドレス(個人のものでOK)
- 医籍登録年
- 標榜科・専門領域
- 現在の勤務先(病院名は書かなくてもOKのところが多い)
- 希望の働き方(選択肢からタップ)
これで3分。履歴書や職務経歴書は、実際に応募する段階になってから、エージェントが作成をサポートしてくれます。
「まだ辞めるかどうか決めていません」の欄が用意されていることが多いので、そこに正直に書いて大丈夫です。
登録の翌日にかかってきた電話
私が登録したのは、当直明けの仮眠室、深夜2時でした。3時間だけ仮眠を取ろうと布団に入って、寝つけなくて、医師向けの転職サイトを眺めていたら、指が止まって登録ボタンをタップしてしまった、あの夜です。
その翌日の午後、外来が終わった休憩時間に、登録したエージェントから電話がかかってきました。
正直、身構えました。いきなり求人の話をされて、断りづらい流れになるんじゃないかと。
でも、最初の15分、担当の人は一切求人の話をしませんでした。
聞いてくれたのは、こんなことです。
- 今、どういう状況で働いているのか
- 何がしんどいのか
- 体調は大丈夫か
- 家族には相談できているか
私は医局の隅で、ぽつぽつと話しました。当直の回数、カンファ準備、半年後の専門医試験の重圧、救急対応で救えなかった患者さんのこと、両親に学費3,500万円を出してもらった罪悪感。気づいたら30分くらい話していました。
最後に、担当の人はこう言いました。
「研修3年、市中病院でフル当直で内科やってこられたんですね。もう、十分ですよ」
私は、医局の隅で泣いてしまいました。
上司にも、同期にも、両親にも、誰にも言えなかった言葉を、利害関係のない第三者にやっと聞いてもらえた気がしたんです。
「押し売りされない」ための、たった1つのコツ
ここからが、この記事で一番伝えたいところです。
医師の転職エージェントに押し売りされない方法は、たった1つ。
「まだ辞めるかどうか決めていません。情報収集だけしたい段階です」と最初に伝える。
これだけです。
この一言を最初に言っておくと、担当の人は「情報提供モード」で接してくれます。「今すぐ決めましょう」と迫ってこない。
逆に言うと、これを言わないと、担当の人は「今すぐ転職したい医師」だと思って動き始めます。そこでズレが生まれます。
私も登録時の自由記入欄にこう書きました。
> まだ辞めるかどうか決めていません。市中病院の常勤以外の働き方があることを最近知ったので、どんな選択肢があるのか聞いてみたい段階です。専門医試験が半年後にあり、そこまでの両立も考えています。
この一文だけで、その後のやり取りの温度感が全然違いました。「専門医を取ってから動くプランも一緒に考えましょうか」と、私のスケジュールに合わせて提案してくれたんです。
合わない担当者に当たったら、遠慮なく変えていい
これも知っておいてほしいことです。
医師向けエージェントの担当者は、美容院の担当と同じで、相性があります。
- 話を最後まで聞いてくれない
- こちらの希望を汲まず、年収が高いだけの求人ばかり勧めてくる
- 「先生のキャリアならもっと上を狙えますよ」と煽ってくる
- 返信が遅い、または急かしてくる
こういう担当に当たったら、遠慮なく変更を申し出ていいんです。「担当を変えてください」と一言送るだけで、違う人がつきます。
そしてもう一つ。医師向けエージェントは、2〜3社を同時に使うのが普通です。
1社目で合わなかったら2社目、2社目で合わなかったら3社目。それぞれ持っている非公開求人も違えば、担当者のタイプも違います。複数使うことで、自分に合う担当とマッチする確率が上がります。
「掛け持ちは失礼な気がする」と思う必要はありません。エージェント側も、それを前提に動いています。私の担当の人も、面談の最後に「他のエージェントも併用されてOKですので、比較してご判断ください」と自分から言っていました。
登録したからといって、転職しなきゃいけないわけじゃない
ここまで読んで、まだ躊躇している人もいると思います。
「登録したら、転職しないといけなくなりそう」
違います。
私が実際に登録した日も、「話を聞いてみるだけ」のつもりでした。結果的に転職したけれど、登録から実際に在宅医療クリニックに移るまで、5ヶ月かかっています。専門医試験の準備期間と並走したので、エージェントの担当者にもそのペースで動いてもらいました。
登録 = 契約 ではない。
登録は「相談窓口を開く」くらいの感覚で大丈夫です。話を聞いてみて「やっぱり今の病院でもう少し頑張る」と思ったら、それを担当に伝えれば、一旦ペースを落としてくれます。
合わなかったら退会もできます。利用料は完全に無料です。
「登録」という言葉の重さに騙されないでください。実際はもっと軽いです。
医局にバレないかが心配な人へ
これは医師ならではの不安だと思います。私もここが一番怖かった。
結論から言うと、まともなエージェントは「現在の勤務先には連絡しない」を運営の前提にしています。これは医療業界の構造上、当然の作法です。
念のためにできる工夫としては、こんなことがあります。
- 連絡先は個人のメール・個人のスマホ番号にする
- 電話は休憩時間や勤務外に折り返す形に統一してもらう
- 公開求人より非公開求人をメインで紹介してもらう(医局関係者の目に触れにくい)
- 登録時の「現在の勤務先」欄は病院名を書かずに「都内市中病院」程度でOK
私も登録時にこの不安を担当の人に正直に伝えました。「医局を抜けると決まる前に、ここから勤務先には一切連絡しないでください」と。担当の人は「もちろんです、そこは医師の転職で一番大事な部分です」と、最初に約束してくれました。
その約束は、5ヶ月の転職活動の間、一度も破られませんでした。
じゃあ、登録する前に何を知っておけばいい?
「使い方は分かった、登録もできそう」と思ってくれた人へ。
次にお伝えしておきたいのは、「実際に転職してから後悔する医師もいる」ということです。私の同期にも、勢いで医局を抜けて、半年後に「やっぱり戻りたい」と言って苦労していた人がいます。
転職そのものが悪いんじゃありません。登録する前に、どんな後悔のパターンがあるのかを知っておくと、自分の判断が冷静になるだけです。
次の記事で、私が同期や転職した先輩から聞いた「医師、辞めて後悔した5パターン」を、正直に書きます。怖がらせる意図ではなくて、これを知った上で動ける人が、結果的に一番穏やかに転職できているからです。
追伸。
医師の転職エージェントに登録することに、心理的なハードルを感じるのは自然です。私もそうでした。
医師免許 = 終身雇用、医局を抜けるのは軟弱、3,500万円かけた両親に申し訳ない。そんな空気の中で「自分の働き方を相談する」という行為自体が、最初は罪悪感とセットでした。
でも、登録するだけで「自分の選択肢を増やす行為」になります。使う使わないは、そのあとでいい。
まずは知るだけ。それで大丈夫です。
あなたの当直明けの朝が、少しでも穏やかになりますように。
ゆうき
Smart Choice Log
※ 本記事は元・市中病院常勤医として在宅医療クリニックに転職した私(ゆうき)個人の体験記です。医師の転職活動の進め方は、専門領域・医局やプログラムとの関係・地域・年次によって最適解が異なります。重要な判断は、信頼できる先輩医師や複数の転職エージェントの担当者など、利害関係を踏まえた複数の第三者に相談されることをおすすめします。