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みおについて

元・大手チェーン調剤3年 / 今は在宅対応の門前薬局3年目
土曜の朝にコーヒーより先に薬歴を開いていた日々から、定時で帰って夕飯を作れるようになるまでの話を書いてます

PHARMACIST — CHAPTER 1 — CALLING

国家試験に合格した日、母が泣いてくれた

薬剤師の国家試験に合格した日、家に電話したら、母が電話の向こうで静かに泣いていました。

薬学部の6年間も、家計が苦しい中で出してくれた1,000万円近い学費のことも、ぜんぶ知っているお母さんの声でした。
「よく頑張ったね」、それだけを、何度も言ってくれました。

2020年の春、都内の大手調剤チェーンへの入社が決まりました。
薬で人の役に立てる、その仕事の入口に、ようやく立てた朝です。

※このときの私は、自分がこの3年で何を抱えることになるのか、まだ何も知りませんでした。

PHARMACIST — CHAPTER 2 — COMMITMENT

「ここで一人前になる」と、自分に約束した1年目

配属初日、薬局長から言われた言葉があります。
調剤の現場を3年やれば、どこでも通用する薬剤師になれる

1日70枚を超える処方箋、土曜日の勤務、監査前の薬歴の確認。
それでも「ここで一人前になる」が、自分の中の数少ない軸になりました。

1年目、調剤の手順も、疑義照会も、患者さんへの服薬指導も、できなかったことがひとつずつできるようになっていく実感はありました。
休みの日に薬の本を開き直していた頃の自分は、それなりに前を向いていたと思います。

PHARMACIST — CHAPTER 3 — THRESHOLD

土曜の朝、コーヒーより先に薬歴のコピーを開いていた

2年目に入った頃から、平日と休日の境目が、少しずつ溶けていきました。

金曜の夜、エコバッグの中の薬歴のコピーが、家の机に置きっぱなしになっている。
土曜の朝、コーヒーを淹れる前に、まずそれを開く。
1日70枚の処方箋を勤務時間内に書ききることが、3年間で一度もできなかったからです。

同期に「持ち帰り、しんどくない?」と聞いたら
それ、薬剤師ならどこも一緒だよ
と笑われました。

薬局長にそれとなく相談したら
「みおさんは丁寧だから、もう少し早く回せるようになるといいね」で、会話が終わりました。

辞めたい気持ちはあったのに、「どこも同じ」「3年は続けないと」「学費がもったいない」と自分にも周りにも言われ続けて、辞めるという選択肢が、頭から静かに消えていました

PHARMACIST — CHAPTER 4 — GUARDIANS

布団の中で検索した「薬剤師 調剤 しんどい」

2023年のはじめ、ある休みの前の夜。
布団の中でスマホを握って、検索窓に小さく入れてみたんです。

「薬剤師 調剤 しんどい」

表示された記事の一覧に、こんな見出しがありました。
「門前薬局という働き方」
「在宅対応の薬局という選択肢」
「処方箋枚数で薬剤師の働き方は変わる」

薬剤師という資格は同じでも、働き方は大手チェーンの調剤だけじゃない。
そのことを、私はそれまで本当に知らなかったんです。

スマホの画面を消して、天井を見上げて、
「もしかしたら、私にも別の働き方があるのかもしれない」と、初めて思いました。

ただ、その夜は次の日も早番だったので、検索タブはそのままにして眠りました。
そこから実際に動き出すまでに、もう少し時間がかかります。

PHARMACIST — CHAPTER 5 — DEMON

終電を逃した夜、タクシーの後部座席で母に電話した

選択肢があることは知った。
でも、そこから数ヶ月、私はずっと動けませんでした。

3年目の春。監査対応で終電を逃した夜、タクシーの後部座席で、母に電話をかけました。
「お母さん」と一言だけ言って、あとは何も言えなくなりました。母は、何も聞かずに、ただ電話の向こうにいてくれました。

深夜に転職サイトのトップページまでは開ける。
でも、登録フォームの「お名前」のところで、スマホを置いてしまう。

頭の中で、いくつもの声が、ぐるぐる回っていました。

  • 大手チェーンを3年で辞めたら、転職市場で「続かない人」と見られるんじゃないか、という不安
  • 調剤の現場を離れたら、覚えてきたことが無駄になるんじゃないか、という恐怖
  • 年収が下がったら、学費の負担を返しきれないんじゃないか、という不安
  • あんなに泣いて喜んでくれた母に、3年で大手を離れたと言えるんだろうか、という後ろめたさ
  • 同期がまだ頑張っているのに、自分だけ抜けるのは逃げじゃないか、という自己嫌悪

結局、登録フォームを何度も開いて、そのたびにアプリを閉じました。

その数ヶ月が、薬剤師になってから、いちばん自分のことが嫌いだった時期です。
職場では「3年は続けないと」と言われ続け、家に帰っても「動けない自分」を責め続けて。
本当はもう気力が限界に近かったのに、それを認めることすら、できませんでした。

休みの日、布団の中で天井を見つめながら、これが どん底 なのだろうか、ここからどう動けばいいのだろうか、ずっと考えていました。

PHARMACIST — CHAPTER 6 — TRANSFORMATION

「6年通って3年やれば、十分ですよ」の一言で動いた

動けないまま春が過ぎようとしていたある日、地域の薬剤師の勉強会で、別の薬局に勤める少し上の先輩と話す機会がありました。

私の顔色が良くないことを、たぶん察してくれていたのだと思います。
コーヒーのカップを置いて、声を落として、こう言ってくれました。

「薬学部に6年通って、調剤を3年やったなら、もう十分ですよ。働き方を組み直すのは、逃げじゃないです」

その夜、家に帰って、もう一度スマホで調べ直しました。
門前薬局と大手チェーンの処方箋枚数の違い、在宅対応薬局の1日の流れ、年収はどのくらい変わるのか。
数字を並べて見ていくうちに、ひとつ 気づいた ことがありました。

私は「大手チェーンの調剤 = 薬剤師の働き方」と思い込んでいて、選択肢が複数あるという事実を、まっすぐに 直視 していなかったのだと。

「向いていないんじゃなくて、今の環境が合っていないだけかもしれない」
その一文を 受け取った とき、ようやく息が抜けたのを覚えています。

翌朝、出勤前に転職サイトの登録フォームを、初めて最後まで 真正面から 入力して、送信ボタンを押しました。
押したあと、不思議と手は震えていませんでした。
数日前まで天井を見上げていた自分が、ようやく 動いた 朝でした。

PHARMACIST — CHAPTER 7 — COMPLETE THE TASK

2023年8月、自転車で10分の門前薬局に移った

2023年8月、登録から数ヶ月後。
家から自転車で10分の、内科クリニックの門前薬局に転職しました。

年収は50万円くらい下がりました。
でも、処方箋は1日20枚ほど、薬歴の持ち帰りはなし、定時退勤。
大手チェーン時代の自分が聞いたら「それ本当に薬剤師の生活?」と疑いたくなるくらい、普通の生活が戻ってきました。

移ってから半年くらい経った頃、自分でも変わったことに気づきました。

  • 土曜の朝、薬歴ではなくコーヒーから1日を始められるようになった
  • 同じ患者さんに毎回会えて、「いつもありがとう」と言われる時間が毎日あった
  • 在宅対応で、患者さんの暮らしごと薬を考える仕事ができるようになった
  • 夕方に買い物をして、ゆっくり夕飯を作れるようになった
  • 夜、ちゃんと眠れるようになった

ある夜、夕飯の野菜を刻みながら、ふと「働き方を、自分で組み直せた」という言葉が頭に浮かびました。

大手を辞める = キャリアの失敗、と思い込んでいたけれど、
私にとっては大手チェーンの調剤以外の選択肢を選んだだけで、薬剤師という仕事は今も続いています。

※これは私ひとりの体験記です。年収・処方箋枚数・働き方の変化は職場や地域によって個別に大きく異なり、効果や満足度には個人差があります。転職や働き方の判断は、ご自身の状況にあわせて慎重にご検討ください。

PHARMACIST — CHAPTER 8 — RETURN HOME

Smart Choice Log を書いている理由

このサイトを書いているのは、あの「3年目の春、終電のタクシーで何も言えずに泣いていた自分」に、伝えたいことがあるからです。

薬剤師の働き方は、大手チェーンの調剤だけじゃない。

それを知らなかった3年間が、いま振り返ると一番もったいなかったです。
土曜の朝に薬歴を開いていた日も、登録フォームを何度も閉じた夜も、もっと早く知っていたら、全部もう少し違っていたはずです。

だから、きれいごとよりも、裏側の数字をそのまま置いておこうと決めました。
年収が実際にいくら下がったのか、処方箋枚数で1日がどう変わるのか、どのサービスをどんな順番で使ったのか。私があの夜中に検索しても見つからなかった「当事者の一次情報」を、ここに残しておきたいんです。

同じ場所で立ち止まっている人に、もう一つの選択肢があることだけは、静かに届けたい。
そのために、ここで記事を書いています。

ここで書かないこと、約束したいこと

  • 「辞めた方がいい」とは断定しません。 大手チェーンで働き続ける選択も、別の薬局に移る選択も、どちらも正解です。私の話はひとつのケースでしかありません。
  • 薬や治療に関する助言はしません。 服薬指導や処方の判断は、それぞれの現場の薬剤師・医師のものです。ここでは働き方の体験だけを書きます。
  • 年収自慢やマウント系の発信はしません。 私自身、今も全部うまくいっているわけではないです。在宅対応で迷う日もあるし、業務がうまく回らない週もあります。
  • 記事で紹介するサービスの一部は、広告主から紹介手数料を受け取っています。
    ただし「自分が使ってよかった / 同じ立場の薬剤師に勧めたい」と思えるものだけを紹介します。読者の登録・利用は無料で、登録は「転職する」ではなく「選択肢を知る」という立場で書いています。
  • 転職や働き方の最終的な判断は、ご自身の勤務状況・家計・地域の求人事情にあわせて慎重にご検討ください。 必要に応じて、信頼できる人や、各サービスのキャリア担当者に相談しながら進めるのが安全だと思います。

もしまた読みにきてくれるなら、
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LINEでは5通の手紙で、年収がいくら下がったか・どのサービスをどの順番で使ったかという裏側の数字まで、まとめてお伝えします。

※ 無料です。途中で「もういいかな」と思ったら、ワンタップで離れられます。